面白い話は昔話にも盛りだくさんに残っています。そんな昔ばなしから間抜けな泥棒の話。
昔、一人の泥棒がいました。ある真夜中に泥棒は、酒屋の土壁に穴を開けて忍び込もうとしていました。壁に穴が開くと用心深い泥棒は、忍び込む前に柄杓(ひしゃく)を使い、中が安全かどうかを調べることにしました。
家の中には酒屋の婿が小銭勘定をしていました。ふと見ると、壁の穴から柄杓(ひしゃく)が出ていて動いています。これは泥棒だと、婿は身構えます。そして泥棒の頭が出てきたところを、芋の茎で思い切り叩きました。
泥棒は死んだと勘違いし、気絶しました。一方婿は何事もなかったことにし、泥棒を河原に捨ててしまいました。
泥棒はやがて息を吹き返します。そして河原の景色を賽の河原と勘違い、もちろん川は三途の川です。
さらに朝日が河原の向こうから上るのをみて、極楽浄土の光と間違えます。おまけに土手下には蓮池がありました。泥棒はお釈迦様に一目会いたいと、蓮池に飛び込みます。
ふと見ると蓮池のほとりに、一人の人影がありました。お釈迦様だと思った泥棒は、人影にすがりつき地獄へは落さないでと頼み込みます。そして再び気を失いました。
その人影は、町外れにあるお寺の和尚。いくら本当のことを言っても泥棒は信じず、お寺の住み込みになりました。そして、勘違いしたままその一生を終えました。
勘違いがいいのか悪いのかですね。
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